iPhone のカメラの話
iPhone のカメラの話
dannna_o のダンナが言ってたことを福野礼一郎が言ってた。「クルマ論評 4」
iPhone のカメラの話
福野礼一郎のクルマ論評4
2019
あとがき 303ページ、304ページ(固定レイアウト)
https://gyazo.com/044a276ec596554fee2f51b22783cc78
まったくアホみたいな暴走写真撮影シークエンスに関しては 「カーグラフィック」の影響で自動車雑誌がビジュアル化した40年前からいまも変わっていません。
おわかりの通りこういう取材ではクルマ乗ってインプレする時間なんてほとんどない。 撮影場所までの往復とコーナリングの撮影を除けばインプレ時間は正味15分くらいでしょうか。 こんな短時間の試乗で自動車評論家はクルマのファーストインプレを書いているわけです。 私もこれを最初の20年やりましたので人様のことは言えませんが、正直あの撮影の「待ち」 にはほとほとうんざりしました。 写真というものの存在を軽視してるわけではなく、拙書 「人とものの讃歌」 をご覧いただければおわかりの通り私はむしろその逆ですが、 ほとんど意味のないルーティンのクルマ撮影に短い試乗時間の半分を割くなんてどう考えてもナンセンスです。 自動車雑誌はカタログじゃない。 みなさんが期待してるのはより深いインプレのその内容。 ですよね。
7000文字で誌面を埋め尽くす言語道断の「二番搾り」 連載が 「写真軽視・写真無視」というまったく新しいインプレ形態を生み出せたのはもちろんiPhoneのおかげです。
試乗に出かけていくのは編集の萬澤さんとふたり。 カメラマンは呼びません。 写真は自分たちでスマホで撮ります。
https://gyazo.com/a5f5fce5fc0320a3e24cf11f77157dbc
自分で撮るなら案外撮りたいツボがずばり撮れます。 スマホなら狭いとこにも突っ込めるし暗い場所での感度もいいしレンズを変えずに接写もできます。 ついでに動画も撮れる。 それにいまや写真のクオリティも雑誌に使うのに充分です。 写真を重視してるつもりの別の連載で、あるときこれといった写真がどうしてもなく、やむなく iPhoneX で撮影した自分の資料用写真を内緒で半ページ大のサイズで使ったことがありますが、誰も気がつきませんでした。 調子こいてそのままムック本にまでしちまいましたが 「人とものの讃歌」155ページ)。
撮影に時間を取らなくていいから、そのぶんクルマをじっくり観察できます。
前後サス、エンジンルーム、トランクとその床下、 後席、 そして車検証。 いつも近所の北の丸公園の駐車場やどこかの駐車場にクルマを入れ、各部の計測をしてから 「後席」 「前席」 「エンジンルーム」 「サス」の所見をメモします。 萬澤さんはその間のんびりひとりで地面に寝転がって好き勝手あちこち観察してます。 お互い気づいたことは意見交換。 彼の視点はいつも大いに参考になります。
2020/6/27
しかし。
「iPhoneで撮るような写真を必死にまともなデジカメで撮る」という作業をやってみると、いかにiPhoneのカメラがメモカメラとしてよく出来ているかがあからさまに分かるな。
かつて編集者がみなGR1を持っていた用途にすっぽりとiPhoneがハマっている感じ
「スマートになりすぎたiPhoneカメラ」
2022/3/28
作家でジャーナリストのカイル・チャイカが「スマートになりすぎたiPhoneカメラ」について『ニューヨーカー』に寄稿している。
iPhone 12 Proは1億台以上、iPhone 13 Proは昨年9月の発売以来、4000万台以上が販売され、通常モデルとProモデルの主な違いはカメラ性能にあるとされている。iPhone 13 Proは12メガピクセルの画像を3つのレンズで撮影し、機械学習によって照明やフォーカスを自動調整するが、こうしたスマートな最適化機能が一部ユーザーの写真にとって好ましくない影響を及ぼしていると書かれている。
多くの人々にとって、スマホとカメラは同義語になっているが、最新のiPhoneはもはや伝統的な意味でのカメラではなく、デジタルデータ処理によってあらかじめプログラムされた理想の画像を形成するための「コンピュテーショナル・フォトグラフィックデバイス」なのではないか
あらかじめプログラムされた理想の画像を形成するためのデバイス
ブルックリン在住の写真家のグレゴリー・ゲンターは「夕焼けを撮影しようとしたけど、iPhoneはそれを全て補正しようとする」と語る。日没前の空のくすんだ紫色は自動編集される過程で消去される。アルゴリズムによってその色合いは、特徴ではなく、欠点としてみなされてしまう。つまり、ユーザーが撮ろうとしているものを、解決すべき問題として捉えてしまっているのだ。 アルゴリズムによってその色合いは、特徴ではなく、欠点としてみなす ユーザーが撮ろうとしているものを、解決すべき問題として捉える